学園生活
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パウロの森から未来へ
*【Step 1】 「森の教室」づくり
高校1年生の時、「森の中に教室を作る」という響きに惹かれ、「森の教室project」に参加しました。先輩達と共に、パウロの森のどこに教室を設けるか計画を立て、草木の間伐、そしてウッドデッキづくりといった作業に汗を流しました。
完成した「森の教室」は、私にとって大きな達成感を与えてくれました。同時に、森が持つ無限の可能性を肌で感じさせてくれるものとなりました。
*【Step 2】 地域の課題から生まれた探究テーマ
2年生に進級し、探究活動が始まりました。テーマを「森」にしたいと考えたのは、2019年の台風でパウロ周辺に土砂崩れが発生したという事実でした。私は「土砂崩れを起こさない森づくり」に強い関心を持ちました。
しかし、いざ研究対象とすると、自分がいかに森について何も知らないかを痛感しました。この「無知の自覚」こそが、私の探究の原動力となりました。
すぐに東京農業大学の橘隆一先生に教えを請い、研究室まで足を運び、専門的なレクチャーを受けました。さらに、法政大学の保清人先生からは「ランドスケープ」という、より広い視点からのご指導もいただきました。
先生方との対話を通して研究の方向性が見え、研究のための道具を購入したいと考えた私は「関東水の緑のネットワーク」に助成金を申請しました。結果、30万円の助成をいただけることになり、研究が本格的にスタートしたのです。
*【Step 3】 「流域治水」への挑戦
探究テーマを「流域治水」と定め、パウロの森の貯水力を高めるための実践的な取り組みに着手しました。
私たちは、土を掘り、「燻炭(くんたん)」を埋設することで土壌を柔らかいスポンジ状にし、貯水機能を向上させる実験を試みました。また、「しがらみ(土留め)」を設けて、土砂の流出をどれだけ防げるかを検証しました。
この取り組みをまとめたポスターを「グリーンインフラネットワーク・ジャパン全国大会」に出展したところ、「研究者・学生部門」で最優秀賞を受賞することができました。この受賞を機に、様々な大学の先生方や地域の方々に注目していただき、タウン誌などで何度も活動を取り上げていただくことができました。探究活動が地域社会に広がり、評価されたことは、何にも代えがたい経験となりました。
*【Step 4】 森を原点に、地域社会へ貢献する未来へ
高校3年間で、様々なキャリプロへの参加や地域貢献活動を通じて、「将来は地域社会に役立つ仕事がしたい」という想いが漠然とした目標から、確固たる決意へと変わりました。
地域の問題は、社会学や社会福祉など、多角的なアプローチが可能です。様々な進路で迷いましたが、最終的に私は、自分の探究の原点である「森林」について、より深く、専門的に学べる東京農業大学への進学を選択しました。
私の高校生活は、「パウロの森」での一歩から始まりました。この学びの場を出発点に、大学という新たなフィールドで、地域社会への貢献という目標に向かって邁進していくことを楽しみにしています。







